食道がん
はじめに
食道がんは早期の場合内視鏡での治療が可能ですが、内視鏡での治療が出来ない場合、手術や放射線治療が治療選択肢となります。治療効果を高めるために手術や放射線治療に薬物療法が併用されます。
陽子線治療の適応
手術が困難な場合に放射線治療が選択されます。すなわち、表在がんで内視鏡切除困難な場合、局所・領域進行がんで手術困難な場合です。陽子線治療は放射線治療の一種であり、適応については同等ですが、陽子線は通常のX線と比べて肺や心臓への線量を低減でき、副作用を少なくできると考えられています。
陽子線治療の方法
最初に、内視鏡下で病変の上下に金属マーカーをクリッピングします。この金属マーカーは照射範囲を同定する際や、毎日の照射時の位置の再現性評価などに使います。通常は薬物療法と併用して60Gy(RBE)/30回の陽子線治療がおこなわれます。金属マーカーのクリッピングや薬物療法は近隣の病院と連携して行います。陽子線治療単独の場合は、最大70Gy(RBE)/35回となります。
当センターの治療方法の特長
●神戸低侵襲がん医療センターと連携して、薬物療法と陽子線治療の併用療法を行っています。
下図は陽子線治療を行った食道がんの線量分布です。通常のX線治療では、神経の耐用線量を考慮して4門に分けることが多いですが、心臓や肺に多くの線量が照射されます。陽子線治療では心臓や肺への照射線量を低減できます。